ポエム

 

『ごあいさつ』

はじめまして青井です。

私の顔を知らない人がほとんどかと思います。公演の時は後 ろの暗黒の孤島で音を出してます。オペミスしても落ち込むひまもなく、ものすごい 形相でやってます。けれどどんなに顔がメチャクチャになっていても、照明が当たら ないので安心です。

つい何年か前まではこんなことをやるなんて全く想像もできなか った。これもひとえにというヤツでしょうか。 人は誰でもいくつも違った顔を持っていますが、どこか私はどの顔でいる時も照れて 下を向いているようです。

今回、劇団のみんなに背中を押されて、ポエムの魂(勝手にタイトルがつけられていた)というこれまた顔が赤面しそうなコーナーを受け持つ ことになってしまいました。トホホです。

昔、まだ私がほんの小さな子供だった頃、大人に大きくなったら何になりたいかと訊かれて小説家になりたいと答えた。そう、子供の頃から馬鹿だった。けれど胸を張れて言えたのは後にも先にもあれ一度きり。創作とよべる代物ではありませんが、私の夢の切れ端をこの場を借りて誰かに伝えようかと思います。どうぞよろしく。

追 伸  

  百年たったら 戻っておいで   百年たったら 帰っておいで   百年たったら 迎えに行くよ

世界地図

  未来は   答案用紙の裏側で   せっせ、せっせと昨夜のうちに   書きかえられる

男と女のサスペンス劇場

「純文学を語り合う仲」

          あおい子の部屋で男物の靴下をつまみ上げているみき夫。

        靴下には「てつ山」のネームが赤で刺繍してある。

あおい子  てつ山君とは何にもないんだってば

みき夫   嘘つけ!

あおい子  本当よ

みき夫   じゃ、どんな仲だ

あおい子  (慌てながら)ジュン、純文学を語り合う仲よ、私たち

みき夫   ほーう。で、どんな?

あおい子  決まってるじゃん。太宰治に川端康成・・・えーっと、

       それから志垣太郎に星一徹

みき夫   てめぇー、出鱈目言うな!(怒りのあまりあおい子に掴みかかろうとす る)

あおい子  (みき夫の手を振り払いながら)馬鹿、知らないの、

       「トンネルを抜け るとそこもトンネルだった。

       汚れちまった悲しみに、茶色い戦争ありました。

       ゆやゆよーん、ゆやゆーよん」

       そしてそうこうしているうち、てつ山君の靴下が片方ポロッとベットの脇に落ちたのね。

       きっと文学の話に白熱し過ぎたのよ私たち。(あおい子一人で納得)

みき夫   落ちねぇよ

あおい子  落ちる

みき夫   落ちねぇ

あおい子  ふん、漫画かエロ雑誌しか読んだことないくせに。あんたに何が分かるの

みき夫   (発狂)落ちねぇ!落ちねぇ、落ちねぇ・・・

あおい子  落ちる!落ちる、落ちる・・・落ちねぇ

みき夫   落ちる!

あおい子  よーし

みき夫   ・・・

みき夫   もう帰る。おまえとも今日限りだ。

あおい子  待って!(みき夫にすがりつく)本当に語り合っただけよ。

       てつ山君と は人生の悩みとか、夢や友情とか浮気やセックスについて

みき夫   えっ!

あおい子  (困った自分自身に)うわーぁ、うわーぁ、吐きそう

みき夫   やっぱり俺達終りだな

あおい子  みき夫待って、もう一度自分の今言ったこと復習してみるから

みき夫   勝手にしろ

あおい子  (考え込んで)セックス、セックス、セックスピザ、セックスペアー、

       そう!(大きく手を叩いて)シェークスピア。

       「生きるべきか死ぬべきか、それが大問題」 

みき夫   ・・・(無視)

あおい子  (みき夫の様子を窺いながら)それが大問題!

みき夫   ・・・(再び無視)

あおい子  チッ、チッ、チッ・・・(秒針の音のつもり)ピンポン、死ぬっ!ピンポン、ピンポン大正解。

       見事あおい子さんがパリ旅行獲得です。ねぇみき夫、

       私エッフェル塔観たい。(みき夫の腕を組んで)観たい、観 たい観たーい

みき夫   (ぶちきれ!)おまえ、精神科にでも診てもらえ!

あおい子  (開き直って)浮気なんてしてないってばさ

          玄関で靴を履きかけるみき夫の肩を掴んで

        無理矢理あおい子が振り 向かせる。

あおい子  綾乃小路君、わたくしの目が嘘をついている目に見えて

みき夫   誰だよ綾乃小路って

          仕方なくあおい子の目を覗き込むと、思いっきり目を反らす。

みき夫   おいおい、無茶苦茶目反らしとるやんけ!

あおい子  あれっ!

みき夫   何だよ

あおい子  みき夫の首に長い髪の毛が絡まってる。

          あおい子、謎の髪の毛をつまみ上げクンクン臭う。

あおい子  これはオンナの臭い。あらら、あらら、あららぁ

みき夫   ゴックン(唾を呑み込む)

あおい子  これは私の髪の毛か(ショートカットの髪にあてがう)それとも鼻毛か (鼻の穴にあてがう)

       もしかすると胸毛か(胸にあてがう)これ音松、わらわにはこのような長ーい体毛はどこにも存在してはおりませぬ

みき夫   実は僕と鈴子ちゃんの仲は・・・

あおい子  ええいっ、問答無用。打ち首獄門!

          みき夫、一巻の終り       (幕 )